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2024.11.25 Mon

診療報酬と薬価制度を駆逐せよ!!進撃の財務省

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診療報酬と薬価制度を駆逐せよ!!進撃の財務省のイメージ

厚労省という城壁を財務省が破壊する日

長年、医療制度は厚生労働省が主導権を握ってきましたが、その構図が大きく変わろうとしています。財務省が財政制度審議会(財政審)を通じて、医療制度改革に積極的に介入し始めているのです。

診療報酬の引き下げや地域別単価の導入、医師の偏在是正、薬価算定の見直しなど、これまで厚労省が管理してきた領域に、財務省が改革の矛先を向け始めています。


診療報酬は下げるべきと財政審

財務省は最近、財務局を投下した機動的調査により、医療法人の経常利益率が8.8%まで上昇している実態を明らかにしました。

これを受け、財政制度審議会の財政制度分科会においては「社会保障制度の持続可能性」を理由に、診療報酬の引き下げを提案しています。

医師の偏在や薬剤の適性使用といった問題も含め、財務省は医療機関の診療報酬見直しを目的とした包括的な改善提案を続けています。

これらの複合的な課題に対し、財政審は包括的な改革を求めていますが、当然ながら日本医師会からは強い反発の声が上がっています。

財政制度審議会は国家予算を議論する場所

医療DX令和ビジョン2030

2030年には労働力不足が660万人を超えると予測される中、自由民主党政務調査会は医療DXの重要性を提言しました。

主な施策は以下の3点です
  1. 全国医療情報プラットフォームの創設
  2. 電子カルテ情報の標準化
  3. 診療報酬改定のDX化

これらの施策は厚生労働省が主導し、マイナンバーカードを基盤としたマイナ保険証が推進されています。 また現在の保険証は令和6年12月2日以降の新規発行は終了します。

しかし、現行のマイナンバーカードは廃止され、2026年頃に予定される次期個人番号カードへの移行や省庁間の連携不足により、医療DXは想定通りの進捗が見られていないのが現状です。

マイナ保険証の進撃も止められない

戦わなければ勝てない。日本医師会の見解

日本医師会は財政審の提案に対し、明確な反論を展開しています。

医療法人の高収益率という指摘に対しては、「一回の診療単価ではなく、患者一人当たりの医療費で評価すべき」と主張。

また、地域別の診療報酬単価導入については、「人口分布の偏りを医療で調整させるような問題のある提案だ」と厳しく批判しています。

しかし、財務省という巨人との戦いは容易ではありません。

水面下では既に様々な駆け引きが行われていると考えられ、最終的には診療報酬の段階的な引き下げや、地域別単価導入の延期などの妥協案と、医療税制の優遇措置維持を組み合わせた調整が行われる可能性が高いでしょう。

財務省とのネガティブトレードオフは不可避

進撃する財務省

今後も増大する社会保障費は国家予算である一般会計の3割以上を占め、財務省が改革の矛先を向けるのは必然とも言えます。

医師一人あたりの維持費は年間1億円必要になるといわれていますので、供給過剰になるとされる医師や看護師や社会保障費の肥大化は、財務省にとっては看過できないのは当然といえます。

しかし、租税による財政引き締めは、国民の可処分所得減少につながる側面も否めません。

現在、医療法人の持分なし化を促進する認定医療法人制度は延長されており、医療の公共性を重視する方向性が示されています。

一方で、保険診療と自由診療の併用など、営利追求の余地も残されている現行制度には、様々な課題が指摘されています。

  • 医師の偏在や病院・薬局の再編、薬価制度の見直しなど、課題は山積みです

財務省は社会保障費の適正化を目指し改革を推し進めていくでしょうが、単なる数字合わせではない、真に持続可能な医療制度の構築が求められています。

このように、財務省の医療制度改革への介入は今後も続くと予想されますが、財政の健全化と医療の質の維持という、相反する課題のバランスをどう取っていくのかが、今後の大きな焦点となるでしょう。

利益相反が深刻化する日本の医療制度

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